入社を断られた相手に私が言うこと
先日のブログで、以下のようなことを書きました。
・「最終選考合格=内(々)定=入社」は今は昔。「最終選考合格=就職先の有力候補に入った程度」と心得る
・「最終選考合格」と「雇用契約の内(々)定」を分けて考える
とはいえ、最終選考合格した人が、全員入社意思表明をするわけではありません。「よく考えた結果、他の会社に決めました」とフラれることもままあります。
フラれた時にどうするか?をここで考えてみましょう。
私はこうしてます。
「覚悟の程を確かめる」⇒「お互いにいいイメージを持って、別れる」
要は「結果的に入社しなかったが、すばらしい会社だ」と思ってもらう。
特に新卒の場合、就活で「いい印象を受けた会社」「悪い印象を受けた会社というのは、一生忘れないものです。
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採用は「利益を上げるために、必要な質の人的資源を必要な数、調達する」のが最大の目的です。
直近の採用計画数を達成すること以外にも、
間接的、あるいは長期的に、会社の利益に貢献する方法もあると思います。
1.将来顧客・取引先の関係になったとき「この会社と付き合いたい」と思ってもらう
自社への入社を断った人が、将来当社の顧客・取引先になることは、ままあります。
特に、ウチのようなBtoBメーカーの技術系応募者は
「ウチのお客様企業」や「ウチの仕入れ先企業」を併願することが多いです。
また事務系応募者でも、メーカーを受けている人はもちろん、
金融・マスコミ・広告・商社に行く人でも、いつ取引先になるかわかりません。
2.転職するとき「この会社を受けよう」と思ってもらう
入社を断るというのは「現時点で双方の条件が不一致」だったというだけで、
「金輪際関係を断つ」ということではありません。
今回は入社に至らなかった応募者の方が、将来転職市場に出てくるときには、
まず「自分が知っているいい会社」を思い浮かべるでしょう。
「もし転職することになったら、この会社を受けよう」と思ってくれる人が
何人いるかということは、長期的に見て大きな競争力になると思います。
3.知人に「いい会社だから受けてみたら」と言ってもらう
「利益を上げるために、必要な質の人的資源を必要な数、調達する」
採用活動最大の目的を考えれば、
「目的が達成するならば、極論、入社するのは目の前の人でなくても構わない」
わけです。
目の前の応募者には「専門知識」「就職志向」「価値観」「就業観」などが近しい
知人がいることは想像に難くありません。
具体的に私はこうしている(新卒採用の場合)
・応募者の意思決定を否定せず、理由や覚悟の度合いを聞く
・「自分が納得して決めた結果なので、正解にできるよう応援してます」
・「将来、取引先になるかもしれないので、その時はウチをよろしくお願いします」
⇒現在のお客様企業だと「将来ウチの製品使ってください」という場合も
・「周囲に、就職活動で困っている知人がいたら、紹介してくださいね」
・「後輩や友人に、うちに合いそうな人がいたら、勧めてあげてください」
入社を辞退するというのは(本来は条件の不一致に過ぎないのですが)、
応募者も引け目を感じやすいものです。
応募者との信頼関係がある程度できていることが前提になりますが、
入社を辞退された時こそ、相手を承認したうえで、お願いしてみると
嫌な印象を持たれずに、こちらのお願いを伝えられると思います。
※どうしても採用したい人の場合、食い下がる・翻意を狙いに行くこともありますが、今回は詳細割愛
「アンチを生む活動」になりうる採用活動
・応募者の意思決定を否定する
・「入社を断る」ことが、まるで「罪」かのように応募者を責める
・本人の意思が固いのに、無理やりしつこく翻意を促す
これらは、下策も下策。
将来の転職候補者を自分で減らしているようなものです。
こういうことをする人は、
「自分が将来人事部から異動して営業になったら、顧客の担当があの時入社を断った応募者だった」とか、
「自分が転職することになって面接に行った企業の面接官が、あの時入社を断った応募者だった」
というシチュエーションに出くわしたときに、過ちに気づくことでしょう。
採用活動は「アンチを生む活動」になりうる、ということを承知しておくべきです。
※ちなみに、上記はすべて「ウチに入社意思表明をする前に、他社に入社を決めた」という前提です。「ウチに入社することに決めたとその場しのぎのウソを言っておいて、後からほかの会社に入ると言ってきた」場合、一言ふたことイヤミを付け加えます。また、そういう人が転職する際応募してきたとしても、採用しないと思います。