Tutian日記

社員20名のベンチャーに新卒入社し、27歳で管理職になるも、29歳で創業130年老舗メーカーに一兵卒として転職してみて気づいたことを書きます。 ①人材業界②人事③就活④大企業vs中小企業といったネタで書こうと思います。ゆるいプライベートの話題も書きます。

8/1、38名の学生を内々定通知式に呼んだところ、37名が参加・入社表明をしてくれました。

フレッシュなネタで行こうと思います。

昨日8/1は、当社新卒採用の内々定通知式。

なんと、38名の学生を呼んだところ、37名が来社し入社表明をしてくれました。

正直、前日まで「何人来るかな…」と不安でしたが、予想以上の歩留まり(業界用語です。人をモノとして見ているのか?というような揚げ足取りは無用)で安堵しました。

まだ、4月の入社まではどう転ぶかわからないし、入社してくれても活躍して業績に貢献してくれないと意味がないのですが、この理由を少し振り返っておこうと思います。

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採用市場では決して「採用強者」ではないウチの会社

ウチの採用計画数は約40名です。

市場相場から考えて、採用難易度は、三国志(KOEI)でいうと「馬騰」とか「公孫」くらいだと思います。「劉虞」とか「趙範」程の難易度ではないと思いますが、「袁紹」「劉表」よりは難しい、そんな感じだと思います。

ちなみに、上場しているものの、BtoBメーカーであることから学生の知名度は皆無に近い。放っておいても勝手に学生が集まる会社では決してありません。

ただ単に数をそろえるだけなら、何も難しいことではないのですが、結構厳しく選考をしてます。採用競合はウチのお客様である、電力・通信・自動車(完成車)メーカー・総合電機メーカーなど。最終選考合格を出せば、勝手に入社してくれる会社では決してありません。

また、採用数の7~8割が、理工系(機械・電気系)。機械・電気系は、1学年4万人しかないにもかかわらず、全国のメーカー、建設会社がこぞって採用したがる、採用難易度の高い専攻です。

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内々定予定者38名の内、37名が8/1に来社し入社承諾をした理由

昨年9月に転職して以来、かなり採用施策のテコ入れを行いましたが、ここでは
「最終面接合格後~入社意思表明まで」の部分を振り返ろうと思います。

【2016年卒 内定クロージング方針】

①「最終選考合格」は伝えるが、内々定かどうかは自分で決めてもらう
②「入社意思表明期限」は決めない
③「他社の選考辞退」も促さない
④学生が「自分で決められる」環境整備を行う

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企業からの一方的な内々定は百害あって一利なし

これまでは、最終選考合格の学生に、うちの会社から一方的に「内々定です」という通知をしていました。

しかし、企業が一方的に内々定を通知するメリットはほとんどないです。

 

<企業が一方的に内々定を通知すると…>

内々定を通知した瞬間、入社するか否かを決める主体は求職者になってしまい、こっちは何のカードも切れなくなる。

・その人が回答を保留し続ければ、ほかの求職者の選考も進められなくなる。

・だもんで、保留している人に「早く回答をしてくれ、さもないと内々定を取り消す」なんてことを言う会社が出てくる。
 ※口頭とはいえ、一度出した内々定を会社の一方的な理由で取り消すというのは、訴訟リスクもあります。

今年、オハワラという言葉が話題になりましたが「オワハラ」すなわち、一方的に内々定を出して、無理やり決断を迫る、というやり方は下策中の下策、百害あって一利なしだと思います。

<デメリット>

 

・承諾しても、「本当に承諾」か「とりあえず承諾」か、入社日までわからない
・「別の第一志望の会社に落ちたらウチに来る」求職者を自ら排除している
・「無理やり決断を迫られた」「本当は○○社も受けたかった」と求職者に思わせる
 →入社後、困難があったときに踏ん張りがきかず、早期退職の遠因になる

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そもそも「内々定」とは

屁理屈ですが、本来「内々定」というのは「雇用契約内々定」です。そして「雇用契約内々定」には「企業側採用意向」「求職者の入社意向」両方がはっきりと表明されることが必要でしょう。

昔(はがきで応募)は「最終選考合格=入社」でよかったのです。求職者側も何十社企業を受けるようなことはなかったからです。

しかし、今はネットでエントリー、OPENESもありますから、余裕で何十社も企業を受けられます。しかも、スケジュール変更で企業の採用選考時期がばらついたときたもんだ。「最終選考合格=有力就職先の候補に入った」という程度で、とても「=入社」とは言えません。そんな人に対して、入社決定権をゆだねて、こちらは相手の何の交渉カードも切れず、意思決定を待つしかないというのは、賢い戦い方ではないと思います。

私は、企業から一方的に内々定を通知しないほうが、企業&求職者双方メリットがあると思います。以下に理由を述べます。

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「企業か一方的に内々定を通知せず、求職者に内々定を決めてもらう」メリット

1.自分で選んで入社してもらうことでミスマッチを減らす

最終合格を通知した後は、相手の入社意思表明を待ちます。

こっちから一律の期限を設定したり、ほかの会社の選考辞退を促すことはしません。
長期的にみてあまり意味がないからです。

納得して決めないと、無理やり入れても、辞めます。辞めればまだいいですが、入社後ローパフォーマーとしてぶら下がると、当社のような伝統的メーカーでは、クビにもしないし、原則年次で給与が上がるので、不良資産になってしまいます。

求職者が納得し、自分の意志で入社したという自覚を持つことで、ミスマッチが防げるのではないかと思います。

2.求職者が保留しても、デメリットなく双方採用活動、就職活動を継続できる

入社意思表明をしない限り「内々定者」としてカウントしませんので、企業側からすると、他の求職者を選考できないという事態にはなりません。 選考活動を継続できます。

また、求職者のほうも、ほかにも受けたい会社があったのに無理して辞退をする必要もなくなります。また、回答期限もないので「とりあえず入社承諾しといて、隠れて就職活動を続けよう」と嘘をつく必要もありません。

最終選考合格者には「入社意思表明をしてくれた人から内々定を確約する」「採用計画数の枠が埋まってしまったらごめんなさい」と伝えています。たいていの方が「他の会社は、今すぐ入社承諾しないと、内々定を取り消す、ということを言ってくる会社も多いので、待っていただけるのはとてもありがたいです」という反応です。 

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僕は「自分に内(々)定を出してもらう」採用手法が、多くの企業に広まればよいと思っています。そうすれば、企業も脅さずに済む、学生も嘘をつかずに済む。私の前職時代もクライアント企業にこのやり方をお勧めしたとところ、悪い反応はほとんどなく、みなさん「これは良いね」という反応でした。

ちなみに、この手法は私が新卒で入った会社、株式会社パフの釘崎社長が、 採用選考を受けに来た私に対して使ったモノです。みなさん、この手法を使う際は、釘崎さんにひとことお断りを入れるようにお願いします 笑