中国語カラオケ大会も「組織」である
中国語カラオケ大会@上海に参加してきました。第8回で7回目の出場。いつもの相棒と一緒です。
会場はなんと、12年前私が初めて中国に行ったときに泊まった上海外国語大学迎賓館で、感慨深いものがありました。12年前と上海はすっかり別の街。
本大会も、最初に参加した時は23歳でまだ学生でしたが、32歳の私はすっかり参加者の中でもおっさんになってしまいました。35歳が上限なので、もしあるとしたら2年後の次回が最後になります。
最初2008年に初参加した時は、周囲もほぼ初参加、元からの知り合いもいない、年が離れていてもフラットな関係だったように思います。しかし第8回にもなると、自分のように過去何度も参加した人と、初参加の人が混在してきます。こっちは別に参加経験があるから偉そうなことを言うつもりもないし、ポジショントークするつもりもないのですが、受け手の気持ちに立つとちょっとしたことで警戒・遠慮させてしまったように思います。また、そんなに悪気はないのですが「過去の大会は~」みたいな話を純粋に思い出話としてついついしてしまい、初参加の人からすると面白くなかったかもしれません。
普段、会社で勤続年数の長いおじさんが「こっちはそんなつもりはないのに、若手にすごい遠慮されてしまう」と悩んでいたり、昔話に花を咲かせている気持ちが、なんとなくわかったような気がします。(私、20代のころは昔話ばかりする先輩が、過去ばかり見て未来を見ていないように感じてしまい、苦手でした)
あと、参加回数が多いだけで、初参加の方とパフォーマンスに差はないわけですが、みんなが気を遣ってくれるから、努めて自分を客観視しないと、変な勘違いをしてしまうという危機感も。
そういう意味ではカラオケ大会の「35歳定年ルール」は非常にいいシステムです。これからの大会の発展を担う、若い高校生や大学生にどんどん素晴らしい経験をするチャンスを解放するべきです。(「譲る」のではなく「解放」がいいですね)
脈絡がないですが、今回はいままでと違うスタンスを求められている気がしました。また次回参加するにしても、私が過剰にしゃしゃり出ると、若い人が人前で発表したり、自分たちで会を仕切る経験を奪うことになります。困って向こうから相談されたら親身に答えてあげる、ぐらいのスタンスがちょうどいいのだと思います。それ以外は、介入・干渉しない。普段自分のプロジェクトでも、極力メンバーに求められていない介入・干渉はしないようにしています。(こんなこと言っていますが、昔は干渉しまくりでした)
以前カープの新井選手がインタビューで「出場試合数が昨年より減っているが」と聞かれ「40歳の自分が毎試合スタメンで出ないといけないようになったら、チームとしてはまずい状態だと思う。若い選手の成長チャンスを奪いたくないが、一選手としては、彼らに負けない、負けたくない気持ちでやっている。なので非常に複雑な心境」と話していました。比べる話ではないかもしれませんが、今回まさに新井選手のような心境でした。
次回もできる限り出場しますし、出るからには決勝大会進出を狙いますが、会全体にとってもよい、自分も満足、という気持ちのいい引き際でありたいと思います。
経営者は野村監督に、中間管理職は江夏になれ ~ダイバーシティ推進や働き方改革をプロ野球に例えてみた~
どうしたらモーレツ世代がダイバーシティ推進や働き方改革に納得するか
最近、ダイバーシティ推進や働き方改革が「企業の稼ぐ力が持続する」ことにつながるというロジックを、どうしたらわかりやすく説明できるのか考えることが多い。
特に、50代~60代のモーレツに働いてきた方々に、理解してもらうのは非常に困難を極める。「全員一律、働く時間が少なくなり、企業の競争力が低下するのでは」とか「多様性を認めることによって余計なコストが発生するのでは」あるいは「ハードワーキング、手間暇かけて丁寧に、という日本企業の強みが失われるのでは」という「誤解」がバリアとなって、なかなか腹落ちするまで時間がかかる。
しかし、私の今務めている会社では、企業の経営をしたり、部下のマネジメントをしている人たちは、50~60代のモーレツ社員、ワーク・ワーク社員なので、まずはこの人たちに腹落ちしてもらわないと始まらない。
そこで、あーでもない、こーでもないといろいろ考える日々なのだが、ちょっと変化球な話を思いついたので書き記しておこう。
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ダイバーシティ推進や働き方改革をプロ野球に例えてみる
○今も昔も「社員の意欲・能力を発揮(有効活用)させ、利益を上げなければならない」と言うことは共通である。
○ただ、利益を上げるために必要な戦い方が変わったのだ。時代が変わり、環境が変われば「社員の意欲・能力を発揮させる」メカニズム(社員の活用法)は変わる。
○高収益を挙げられる状態を持続的なものとするために、戦い方を時代にフィットさせていくことが、ダイバーシティ推進であり、働き方改革である。
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これを、プロ野球に例えるとこうなる。
○今も昔も「選手を有効活用し、相手より多く点を取り、27個アウトを取れば1勝できる。年間を通して最も勝利数が多いチームが優勝できる」と言うことは共通である。
○ただ「ペナントレースを制するチームを長期的に築くための戦い方」が変わったのだ。時代が変わり、環境が変われば選手の活用方法は変わる。
○より確実に試合に勝てる状態をシーズン通して持続するため、戦い方を時代にフィットさせていくことが、ダイバーシティ推進であり、働き方改革である。
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例えば、投手の起用法。
昔は先発完投型の投手がよいとされた。「ガソリンタンク」の米田や「権藤、権藤、雨、権藤」の権藤のようなエースが毎日のように連投・完投するのが当たり前。
しかし、今では先発投手は、6回・7回で降板するのが当たり前。先発投手が毎試合完投・連投するなんて、選手生命を縮めるのでもっての外、むしろタブーとされている。
「先発エース」を今と昔で比較しても、年間の登板試合数は昔(=43試合・米田、'68)と今(=26試合・菅野、'16)で大きく違うし、年間投球回数も昔(=348回・米田、'68)と今(=183.1/3回・菅野、'16)では、二倍近くの隔たりがある。
では、米田と菅野を比較して「選手としての価値」や「チームへの貢献度」は米田のほうが二倍近く高いのだろうか?
そうではない。「勝つための、優勝するための投手起用方法が変わった」のだ。
組織に置き換えてみると「労働時間が長さが、人材の価値や組織への貢献度と単純に比例するのか?」ということだ。
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野村監督と江夏の「革命」
続いて、ダイバーシティ推進や働き方改革の重要性を感じさせる、野球界のまさに「革命」エピソードをご紹介しよう。
当時、投手=先発完投が当たり前の時代、リリーフ(中継ぎ・抑え)を勝つために戦略的に行う、などと言う概念はなく「先発完投できないとエースとして失格」「リリーフ投手=控えであり、能力の劣る投手」とされていた。
阪神で先発完投型のエースとして活躍した江夏は、キャリア後期、血行障害や心臓疾患などで長いイニングを投げられなくなった。当時の野村監督(南海)は、江夏にリリーフ転向を打診した。しかし、江夏は拒否。延長10回に自分でホームランを打ってノーヒットノーラン達成したこともある江夏は、先発完投型の投手であることに非常にこだわりを持っていた。リリーフ転向など恥ずかしくてできない。頑なな江夏を、野村監督はこう口説き落としたという。
「安定したリリーフ無くして、先発の強みは発揮できない。単なる控えではなく、公正な評価を得るポジションとして、リリーフ投手が認識される時代が必ず来る。」
「二人で野球界に革命を起こそうやないか」
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この後、江夏は抑え投手として活躍。日本シリーズでの「江夏の21球」という名場面で「抑え投手」が主役になれることを自ら証明し「優勝請負人」の名をほしいままにする。江夏がリリーフ転向した当時には「セーブ」や「ホールド」などと言う言葉すらなかった。ルールが後になって、江夏に追いついたのだ。
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経営者は野村監督に、中間管理職は江夏になれ
これですよ。これ。これこそまさにダイバーシティ&インクルージョンであり、働き方改革です。
この時、野村監督が「貴様のような完投できない投手などいらん」と戦力外通告していたら…江夏が「完投できない自分は、チームに不要な、迷惑をかける存在なんだ…」と引退していたら…
時代の変化や、選手の状態を的確に捉まえ、戦い方を変えた。だから、野村監督はその後もヤクルトで日本一の監督となり、複数の球団で監督を務め「野村再生工場」と言われた。江夏も不動のストッパーとして、新しい境地を開き、結果的に長期的に活躍することができた。
野村監督がそのまま「経営者」で、江夏が「中間管理職(若い時バリバリ働いた元エースプレイヤー)」です。経営者が「残業・転勤など、これまでの会社にとって都合の良い人材像に当てはまらん人間(労働時間に制限のある人間)はいらん」という企業は、人口が減る環境で、今後人材を持続的に確保できるのだろうか?
「長時間労働できない自分は、会社に貢献できない存在なのだ」と思うのではなく「私は私のワークスタイルで、会社に貢献すればいいじゃないか」と思える組織のほうが、社員のやる気を引き出し、ひいては成果も大きくなるのではないだろうか。
このように「勝ち続けるために」環境の変化に合わせ選手(社員)の活用方法を変えること「多様なワークスタイル(貢献の仕方)」を認めることがダイバーシティ推進や働き方改革なのだ。
経営者は野村監督を、中間管理職は江夏を見習わなければいけない。
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ダイバーシティ推進や働き方改革が自己目的化してはいけない
こう考えると、結構しっくりくる。野球を知らない人には何のことかさっぱりかもしれないが…
ところで、ダイバーシティ推進や働き方改革は「わかりにくいので腹落ちしにくい」ゆえに「手段が目的化しやすい」という難しさがある。
「ダイバーシティ推進」の話をするとき、気を付けないと、やれ外国人社員比率・女性社員比率がどうだとか、やれ役員や管理職に外国人・女性が含まれているか、といった話になってしまう。
「働き方改革」では、やれ年次有給休暇取得率や年間総実労働時間がどうだとかの各論の話になってしまうのも、そう。
これも、野球で考えると分かりやすい。
菅野が毎試合完投しないのも、連投しないも、単に長い回を投げないことが目的ではない。さらに言うと、菅野が昔のピッチャーに比べて怠惰になったわけでも、精神的に弱くなったわけでもない。
野村が長いイニング投げられない江夏を抑え投手にしたのも、別に野村が江夏を甘やかしたいわけではないし、江夏を過剰に保護しているわけでもない。
ただ「長期的にチームが勝つために」やっているだけのことなのである。
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ダイバーシティ推進や働き方改革が自己目的化してはいけない
性別・国籍関係なく活躍できる組織にするのも、長時間労働ができない(志向しない)人にも多様な貢献の仕方を認めるのも、全部「企業の稼ぐ力を持続させる」ためにやるのである。
野球チームで考えてみても「プロ野球チームの女性選手・外国人比率を上げ」「コーチ・監督に女性・外国人を登用し」たら、強いチームになるかというとそんなことはないはずだ。
「試合時間が短くなるように、なるべく球数が少なくなるように投球」したり「練習日数を減らして選手を休ませる日を増やし」たら、強いチームになるかというと、これも違う。
あなたが監督で、もしコーチが「今、女性をチームに入れたり、外国人をコーチにしたりするのが流行ってます」「他球団は、試合時間を短縮し、試合日数を減らし、選手の休息時間・休暇を増やしています」「ウチもやりましょう」と言ってきたら、どう思うだろうか。
「こいつ何言ってんの?」「そんなことしたらチームがひどいことになっちゃうじゃん」と思わないだろうか。
人事部と経営が「わが社にとって、何のためにダイバーシティ推進や働き方改革は何のためにやるのか」を話し合わないといけない。
野球で例えるならば「プロ野球界初の女性選手誕生」が目的化したり「1イニングあたり球数が20球超えた投手は罰金」「投手を年間140イニングス登板させたチームは罰則」という、手段が目的化した、わけのわからないことになってしまう。そんなチームが優勝することはないだろう。これを会社で例えた場合は…言うまでもないだろう。
使命に集中すれば、雑音は気にならない
今日は都内某大学に訪問。働き方改革の分野で著名な先生に、役員向け働き方改革セミナーの講話をお願いしに行った。
逃げるわけではないが、働き方改革は人事だけでは完遂しない。
人事は、例えば柔軟な勤務ルール、時間でなくアウトプットで評価される制度、年功序列を弱めて長期勤続ではなく現在の役割に報酬を払うなど制度は作れる。しかし、それを活用することが許容される組織風土は、各職場で作らないといけない。
また、個人の業務生産性向上のための工夫も限界がある。仮に(あくまでも仮に)「長時間労働により無理を聞くことで競争力を生み出すビジネスモデル」である限り、いくら個々人が生産性を上げたところで、そのビジネス環境下における価値の変換効率は悪い。
理想論だが、長時間労働に依存しなくても付加価値を提供できるビジネスモデル、無理を聞かなくても顧客が尊重してくれる会社にしなくてはならない。
そのためには、管理部門だけではなく、経営者が働き方改革を「自分事」としてとらえ「自社のビジネスの在り方をどうしたいのか」を考える必要がある。
それなしに、労働時間削減・休暇取得率向上のみが先行してしまうと、本質的な目的なき働き方改革となり、頓挫する。(持ち帰り残業や、サービス残業、もしくは管理職の負担が増えるだけとなる)
というわけで、まずは経営陣へのアプローチ、なのである。
50代、60代の「一生ワーク・ワーク世代」には、働き方改革=全員一律労働時間が下がり、会社の競争力が失われるのでは、思いっきり働きたい社員のモチベーションを下げるのでは、という誤解がある。また、自分の若い時大事にしてきた働き方(成功体験)を否定されているのでは、という心理的抵抗がある。
そうではなく、働き方改革=ワーク・ワーク社員もそうでない人も、多様な働き方を認めること。ワーク・ワーク社員を否定することではなく「ワーク・ワーク社員に非ずんば、貢献できない・存在を認められない(と感じてしまう)組織風土」から、「様々なワークスタイル=貢献スタイルが認められる風土」にしていくことなのだと理解してもらう必要がある。
一回の講話で腑に落ちることはないかもしれないが、今後話者(媒体)を変えシチュエーションを変え、地道に発信&対話を行っていきたい。
ところで、今日訪問した教授とのご縁をいただいたのは、とある他部門の方のご紹介のおかげ。彼も中途入社で、新しいチャレンジをどんどん仕掛けている。今日も一緒に同席してくれた。
彼も「新しいチャレンジをしようとすると、失敗しそうな要因、できない理由ばかり挙げて自分は何もしない非建設的な批評家」にたくさん出くわすという。チャレンジをやめるべき理由は言えない、だけど「今までやったことがないから」「過去同じようなことをやって失敗したから」どうせできない、やめておいたほうがいい、という人たちだ。
「嫌な気持ちになることはないですか?」と聞くと「自分の使命に集中すれば、雑音は気にならない」ときっぱり。うーん、素敵です。見習いたい。
連結数万人の企業ってもっとシステマティックなのかと思っていたが、意外と最後の最後は当事者が一歩踏み出せば、ある施策が実現し、ちょっとずつだが組織が動く。
管理部門は「虚栄を追うべからず」?
日月潭玄奘寺にて
ここに、三蔵法師こと、玄奘の舎利が祀られているそうです。ちなみに私は、三蔵法師といえば夏目雅子(亡くなられたのは私の生まれた1985年)、がわかる最後の世代です。小学生に上がる前に、よく再放送で西遊記が流れていた気がします。
さて、なぜ台湾で玄奘?というと、南京で日本軍が玄奘の墓を発見し、その一部を埼玉県のお寺に分骨したとのこと。さらに終戦後、南京国民党政府の後継ということなんでしょう、一部を分骨する形で台湾にお返ししたのだそうです。
玄奘といえばインドというイメージですが、旅したルートを見ると、カザフスタン、ウズベキスタンなど中央アジア、パキスタン、バングラデシュ、ネパールなどインド以外の西アジア、南アジア全体にまたがっており、16年の大冒険だったようです。しかも、王朝に命じられたからではなく、純粋に自分の意思で、王朝に無断で出国しているんですね。まさに命がけです。
ゴダイゴの歌を聴いて、ガンダーラが目的地のように思っていましたが、玄奘の旅したルートを見ると単なる通過点に過ぎません。16年もの長旅を忠実に再現すると話が長すぎるため、小説にする際にシンプルにしたのでしょうね。タケカワユキヒデさんは東京外国語大学の大先輩にあたりますが、ヒンディー語でも中国語でもなく、英米語専攻だったからか、さすがにここまで細かいことは気にしてなかったのでしょう。
私は山道を数キロ歩いただけで疲れてしまいましたが、これだけの長旅、しかもインド本場の経典を背負って運びながらの旅は、想像を絶する旅であったでしょう。しかも、当時は交通も宿泊も食事も異言語コミュニケーションも困難を極めたに違いありません。
半分冗談ですが、半分真面目な話、この方は日本にも大きな影響を間違いなく及ぼしています。何故なら、玄奘がいなければ、小説・西遊記もなく、「ドラゴンボール」も存在しなかったから。もしくは孫悟空の名前は劉玄徳とか宋江になっていたかもしれません。「スーパーサイヤ人ゴッド玄徳」とか…ベジータとフュージョンしたら「江(ごう)ジータ」になるとか…それはそれで見てみたい気もしますが…(ちなみに、日本の仏教に大きな影響を与えたのは言うまでもありません)
何はともあれ、玄奘に敬意を表さずにはいられないですね。
2016年はあっという間に過ぎていった
年々、一年が過ぎるのが早く感じるようになってきました。
2016年、何が起こったかを振り返ることもなく、2017年も1か月が過ぎてしまって驚きです。
言い訳がましいですが、普段からブログを書こう書こうと思うものの、あまり「大っぴらに書けることが少ない」のですよね。写真も載せられないし…
社外より、社内向けの仕事が多いからなのですが、思考が内向きになりすぎないよう、たまには書いてみようと思います。
2016年は、一言でいうと「幅が広がった年」でした。
【2016年1月】ダイバーシティ推進プロジェクト
2016-20年は、人事部にとって勝負の年であり、人事部がオペレーションセンターからビジネスパートナーに脱皮できるか否かの試金石となる、チャレンジングなプロジェクトが4つほど走っています。
そのうち、ダイバーシティ推進と働き方改革を行うプロジェクトのリーダーをすることになりました。
人事の世界はほぼ素人の私ですが、このテーマはまだ世間でもスタンダードが確立されておらず、試行錯誤している会社が多い中で、自社似合った施策を実行してく必要があり、人事にどっぷりつかってきた人間でないほうがむしろ向いているテーマなので、ある意味ラッキーなのかもしれません。
【2016年2・3月】春季交渉
前の会社では、労働組合などなかったので、新鮮な体験ではありました。
正直に言うと「ベースアップ要求」という手段が目的化しているような、大きな違和感を感じましたが…
会社が持続的に発展し、利益と従業員のやりがいを両立するための手段は「全員一律賃金アップ」だけではないはずです。
上部団体の言うがままに交渉してくる様は滑稽でもあり、不憫でもありました。
人事部にも同じことが言えますが、海外と国内の売上比率が逆転し、本体企業からどんどん製造・営業などの機能がなくなっていく中では、労働組合の果たす役割も変わっていかなくてはなりません。
自浄作用で改革が進むのが一番です。しかし、いい意味でも悪い意味でも、市場や顧客からの圧力を受けない労組という組織は、内部から何を変えるにしてもハードルが相当高い。しかも、会社は組合活動に表立って干渉はできない。その結果、国内で生産し、国内で売っていた事態と同じ活動を、違和感を感じながらも続けてしまっている。
会社は労組が無くなっても・強くなりすぎても困りますから、生かさず殺さず付き合っている…存在自体に意味がある、と言うことなんでしょうか。
もやもやしている間に、2年連続ベアという結果で初めての春闘は幕を下ろしました。
【4月】構造改革
あまり具体的には書けませんが、子会社の合弁解消に伴い、社員の転籍に関する仕事にも携わりました。
つい最近まで、新しい人を採用する仕事をしていて、今も「働きやすい会社づくり」のための仕事をしているのに、何の因果かな…と最初は困惑したものです。
言い方が難しいですが、今後にも生きる経験だと思います。
【6月】驚愕のアンケート結果
ダイバーシティPJの施策案をつくるために、まずは社員のアンケート&面談調査をしたのですが、その結果がまとまったのが5月でした。
世間と比較できるように、ある財団のアンケートと同じ設問を使って、他社の回答とウチの会社の回答を比較してみたのですが…
なんと、他社よりも「上司とキャリアについて話す機会がない」という人が多く、さらには「(ウチの会社では)出産・育児を想定できない」という回答がある(他社の結果では0%)という驚きの回答結果。
問題の根深さを実感するとともに、先が思いやられるなあ、と途方にくれたものでした…
ここから、経営会議を通してダイバーシティ推進に関する社長メッセージ発表+施策承認までに、半年以上かかってしまいました。
【6月】屋台村
全社の改善小集団活動みたいなものがあり、スタッフ部門代表として、全グループの発表会に参加してきました。
内容は、出張用の宿泊施設を法人価格で予約できるサイトを導入しました、というもの。
特に会社に採っては費用も発生しない、ハードルの低いものなのですが、発表後には「いい意味でウチの人事っぽくないアイディア」と嬉しいような悲しいようなコメントをいただきました。
社長とツーショットで記念写真撮れたのも思い出です。
【7月】監督官がやってくる
人生初の体験が多かった2016年ですが、労働基準監督官の臨検に初めて立ち会いました。
詳細は割愛します…
【8月】テレワークトライアル
まずは、スタッフ部門だけでテレワークのトライアルを行うことに。
私も1か月の間で7回、在宅勤務にチャレンジしてみました。
前職ではほぼテレワークのような状態だったので、もちろん抵抗はなく、企画書作成や書籍から情報を収集するなど、集中を要する仕事は会社にいる時より捗りました。
ですが、3日連続も在宅でやっていると、少し集中力を維持するのが難しい(意志の弱い私には特に…)と言うことも感じました。週に1度だけ、集中を要する仕事をまとめて行うなど、うまい付き合い方が必要になりそうです。
【9月】人事とCSR
従来、ウチの会社では人事とCSRのつながりがあまり強くなかったようです。これまでは、人事が「社外に公表するために仕事してるんじゃない」みたいなスタンスだったそうで…
ですが、CSRにも最近中途社員の方が入り、密に連携できるようになってきています。
「ウソをついたり、データを恣意的に操作して、会社をよく見せる」ことは意味がないですが、人事にとって「せっかくいいことをやっているのに社内外に公開しないと、何もやっていないのと一緒」ということも頭に入れておく必要があると思っています。
その後も、人権ポリシーの作成や、働き方改革をテーマとしたステークホルダダイアログの実施など、CSRとはうまく連携して活動ができているように思います。
【10月】若手合宿勉強会
3か月に一回、若手(~30前半)で勉強会をやっていましたが、形骸化してしまっていたこともあり、趣向を大きく変え、会社の保養所で1泊2日でやることにしました。
あるテーマを1つ決めて毎回持ち回りで講師役となる社員が「ほかのメンバーにシェアしたいスキルやノウハウを紹介する」コーナーや、
「私が人事部長だったら」というテーマで全員がディスカッション&発表するというものでした。
人事部長もオブザーバーとして参加したいと言い出し(やっぱり気になるんですよね)、非日常的な場で意見交換ができ、有意義だったと思います。
【11月】2度目のボストン
2015年は、なんと4回も海外出張に行きましたが、2016年は1度だけでした。
その1度だけの出張が2回目のボストンキャリアフォーラム。参加企業数が約1割増の約220社、しかも大手有名どころが増えており、2015年より苦戦を強いられた印象です。
さらに、大手人気企業はボストンで選考結果を出さず「結果は本国での最終面接に持ち越し」というケースも多く、ウチがオファーを出しても学生が決められないという現象が2015年よりも多く見受けられました。
さらに、渡航前の「スカイプ事前面接」やイベント前日での「ホテルでの懇親会」など青田買いが当たり前のように行われていました。来年以降は戦略を練り直す必要がありそうです。
※写真は全然関係ない企業様のものです…
【12月】経営会議承認~トップメッセージ発信
11月に、ダイバーシティ推進に関するトップメッセ―ジ+具体的施策が経営会議にて承認され、12月にはトップメッセージ(日本語版+英語版)が正式にリリースされました。
これまでは、具体的な施策を実行する土台作りという感じでしたが、年明けからは、いよいよ実行フェーズへと移り、PDCAを高速に回転していくことになります。
やったことないことばかりなので、文句を言う人もたくさんいます。良かれと思って、正義感からなのでしょうが、パワハラまがいのことをしてくる人もいます。何が正しいのかは、よくわかりませんし、結果が決めるものだと思っています。ただ、今は自分が正しいと思うことを全力で進めるだけです。